外傷後の輸血の必要性を血小板機能を使用して評価する新デバイス

2019-03-26

ニューヨーク(ロイターヘルス) - 血小板機能を短時間で評価するマイクロ流体デバイスは、外傷患者に輸血が必要かどうかの判断に有用な可能性がある、と研究者らが述べている。

「外傷蘇生時の血小板輸血のほとんどは、急性損傷および出血を呈する患者の治療に関連する時間的制約および処置上の制約のために、経験的に実施されている」とUniversity of Washington(シアトル)のDr. Nathan Whiteはロイターヘルスへの電子メールで述べた。

「我々のデバイスはこれらの制約を克服するように設計されているため、血小板輸血の決定を1回の測定結果に基づいて、より速やかに、より正確に下すことができる」と同氏は述べた。

「医師は多くの異なる検査に頼って患者の凝固状態を確認しているが、我々の技術は強力な指標となる可能性がある」と共著者であり、同じくUniversity of WashingtonのDr. Nathan Sniadeckiは電子メールで述べた。「このデバイスは血小板機能を感知できるが、他の多くの検査は間接的測定のみが可能である」

「血小板は活性後に強く収縮し、血液凝固時の血小板凝集およびフィブリン塊の強度および安定性に寄与する」と著者らは説明している。しかし、一部の外傷患者、例えばアスピリン使用患者では、血小板は血栓形成に必要な収縮力を発揮することが不可能となる可能性がある。

Nature Communications誌3月13日号オンライン版に発表された報告によると、同研究者らは外傷後の血小板機能異常を検出するため、リアルタイムで血小板の収縮力を測定するマイクロ流体デバイスを設計した。

同研究者らは血液検体を使用して同デバイスを試験し、検体を血小板凝集に関与しているミオシン阻害剤、血小板膜糖蛋白(GP)Ib/IX/V、インテグリンαIIb/β3、P2Y12、またはトロンボキサンで処理すると、血小板の収縮力が有意に低下したことを見出した。

さらに、同研究者らは救急科(ED)入院時に血液検体が採取された外傷患者110人、および健常被験者10人において同デバイスを試験した。最初の24時間以内に輸血が必要であった患者と必要でなかった患者または外傷のなかった対照者との間で、血小板の収縮力に有意差があることが見出された。

詳細には、外傷患者の血小板は対照者の血小板と比較して、収縮力が低下しており、輸血が必要であった外傷患者17人は血小板の収縮力が最も低かった。

さらに、「血小板の収縮力は輸血の必要性を有意に予測し、受信者動作特性(ROC)曲線下面積が0.72(p=0.006)であった」と著者らは述べている。

「Dr. Whiteと私は、この技術を米国食品医薬品局(FDA)承認を受けて商品化し、製造規模を拡大するために、スピンアウト企業Stasys Medicalを設立した」とDr. Sniadeckiはロイターヘルスに述べた。「数年以内に、世界の臨床医がこの技術を使用できるようになることを期待している」

Wake Forest Baptist Healthの救急医学科講師であるDr. Lane Smithは、同研究を「興味深い新しい」研究であると述べた。

「理想的には、同デバイスは小型で携帯可能なものであろう」と同氏はロイターヘルスへの電子メールで述べた。「大型で動かせないデバイスは中央検査室の外での使用が限られており、これは移動させる時間がかかるために検査結果を得る大きな妨げとなる」

「ユーザーはデバイスの適切な較正を確実とするための簡単で時間がかからない方法を必要としている」と同氏は補足した。「理想的には、較正は毎回の測定の前に実施するよりも、スケジュール化して(すなわち、24時間毎またはシフト毎)実施する必要があるだろう」と同氏は述べた。

「初期の研究は単一施設で少数の検体に実施された」と同氏は述べた。「今回の予備的データは有望とみえるが、多施設でのバリデーションが必要である。抗凝固薬またはその他の交絡する医薬品を使用している患者を含めて、より頑健な検体数および薬剤の分類を行うことが、将来の研究において必要であろう」


SOURCE:https://www.nature.com/articles/s41467-019-09150-9
Nat Comm 2019.