女性は男性より僧帽弁手術の予後が不良

2019-03-28

ニューヨーク(ロイターヘルス) - 重度の虚血性僧帽弁逆流症(SMR)に対する僧帽弁手術後の女性は男性に比べてアウトカムが不良であることが、Cardiothoracic Surgical Trials Network(CTSN)の知見から示されている。

「今回の研究は、男女ともに、ガイドラインに基づく薬物治療、血行再建術、または心臓再同期療法に加え、重度の虚血性MRを適時かつ適切に修復する重要性を強調している」とIcahn School of Medicine at Mount Sinai(ニューヨーク市)のDr. Anuradha Lalaは述べた。

「今回の解析は、女性の虚血性MRを早期に診断すること、僧帽弁手術または経カテーテル治療を適時に勧めること、および男女間で確認されたアウトカムの差を低減させるため、手術前に併存疾患を積極的に治療することに注意を払う必要性を裏付けていると考えられる」と同氏は電子メールにてロイターヘルスに語った。

同知見は、ニューオーリンズで開催されたAmerican College of Cardiology年次総会での発表に合わせて、JACC Heart Failure誌3月15日号オンライン版で公表された。

現行のガイドラインは、最適な治療にもかかわらず、New York Heart Association分類でクラス3および4の症状が持続している患者を対象に、重度の虚血性MRの外科的修復を検討するよう推奨している。女性は、男性と比較して、僧帽弁手術を受ける可能性が低く、長期アウトカムが悪化することが登録データから示唆されているが、手術後のアウトカムが男性と女性で異なるかは未だ明らかにされていない。

これを調査するため、Dr. Lalaらは、CTSN SMR試験で得られたデータの二次解析で、重度虚血性MRの手術後のアウトカムを検証し、僧帽弁置換は、僧帽弁形成術と比較して、再入院率の有意な低下および中等度以上のMR再発と関連することを明らかにした。

同試験に登録した患者のうち、38.2%(251人中96人)は女性であった。ベースライン時に、女性の方が、Minnesota Living with Heart Failure(MLHF)のスコアが低かった。すなわち、男性と比較して、左室容積、左室直径、および左室容積が低下し、僧帽弁有効逆流開口面積、弁輪面積、およびテザリング面積が小さかった。

2年後、女性のほうが、死亡リスク(女性:27.1% vs. 男性:17.4%)および主要心/脳血管有害事象(MACCE)リスク(女性:49.0% vs. 男性:38.1%)が有意に高かった。再入院率に有意差はみられなかった。

女性は、治療無効およびMR再発のリスクが増大する傾向を示したが、これらの差は、統計的有意性に達していなかった。男性および女性において、僧帽弁形成術は、僧帽弁置換よりMRの絶対再発率上昇と関連していた。

僧帽弁手術後、両群ともQOLスコアは改善したが、2年後、平均MLHFスコアは女性の方が男性より継続して低かった。2年後、女性では、NHYA分類クラス3または4の症状の有病率が上昇する傾向がみられた。

2年後、男性および女性の左室収縮末期容量指数(LVESVI)は同程度に改善した。

「これらの知見は主に、冠動脈バイパス移植を併用または併用なしに、僧帽弁手術で虚血性僧帽弁逆流を治療した集団に適用されることに留意する必要がある。これらの知見が経カテーテル僧帽弁形成術を受ける患者に適用できるかどうかに関しては、さらに調査する必要がある」とDr. Lalaは述べた。

「重度の二次的MRを経カテーテル僧帽弁形成術で修復すると、修復を行わない場合と比較して、死亡リスクまたは心不全と関連する再入院リスクが低かったというCOAPT試験の影響力のある結果を考慮して、心不全患者における二次的(または機能的)MRの治療の役割が最近注目されている。しかし、2年が経過しても、これらの患者で全死亡率は依然として高い。この疾患を来した患者集団のアウトカムをさらに改善するには、さらに研究を行う必要がある」と主著者であるMount SinaiのDr. Gennaro Giustinoは電子メールにてロイターヘルスに語った。

「死亡および僧帽弁手術後のMACEの増加が最も興味深い。原因はデータから推測することはできない、すなわち、それは悪い治療または悪い症状あるいは悪い選択プロセスである。その結果、次に何をすべきかを説明するより、多くの仮説が生じてしまう」と僧帽弁逆流を研究しているMayo College of Medicine(ミネソタ州ロチェスター)のDr. Maurice E. Saranoは電子メールにてロイターヘルスに語った。

「MRがみられる女性は、心臓が小さく、あまり「印象」に残らないという事実によって治療の推奨が遅れるため、さらに有害なアウトカムに至ることが立証されている。推奨プロセスや治療の選択に影響を与える可能性がある意図しないバイアス、特に女性は体格が小さいという問題を心臓病学者の共通認識として理解することが重要である」と同研究に関与しなかったDr. Saranoは説明した。

「男性および女性において、機能的MRについて研究する必要がある」とDr. Saranoは補足した。

University Heart Center(ドイツ ハンブルク)のDr. Eike Philipp Tiggesは、高リスク患者を対象に、経カテーテル僧帽弁形成術後の性特異的アウトカムについて研究した。「実際の問題は、性別が、結果またはむしろ治療アプローチの背後にある真の誘導因子なのかということである。NT-proBNP値を、性別サブグループおよび治療サブグループで実施した心筋壁応力の代理指標として検討することは興味深い」と同氏は電子メールにてロイターヘルスに語った。

「これらの極めて興味深い知見は、治療戦略と性別を均等に分布させたサブグループにおける詳細な研究を確実に誘導し、その結果、個別化戦略に至るであろう」と今回の新規研究に関与しなかったDr. Tiggesは述べた。


SOURCE:https://bit.ly/2CzJT6k
JACC Heart Fail 2019.