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糖分が多いペットボトル飲料のがぶ飲み注意! 夏場に多いペットボトル症候群とは?

医療・健康
2024.7.29

ジトジトした梅雨が明けた直後から、地域によっては連日35度以上の猛暑日を記録するなど、いきなり“夏まっさかり”という気候が続いています。熱中症対策のためこの時期は水分補給が欠かせませんが、糖分が含まれた飲み物ばかり飲んでいると「ペットボトル症候群」になることがあるため、飲み物のチョイスには注意が必要です。意識して水分補給をしているはずなのに、喉が渇いてしょうがないという方、もしかして糖分が多いペットボトル飲料ばかり飲んではいませんか?

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ペットボトル症候群とはどんなもの?

ペットボトル症候群という言葉自体、初めて聞くという人もいらっしゃるかもしれません。ペットボトル症候群とは、糖尿病の自覚症状がなかった人が、糖尿病の主な症状である「喉の渇き」を癒すために砂糖入りのペットボトル飲料を多飲していたことからつくられた造語※1で、正しくは「清涼飲料水ケトーシス」といいます。

糖分が多く含まれたスポーツドリンクやジュースなどを大量に飲み続けると、血糖値が上昇します。この状態をもとに戻そうと、膵臓(すいぞう)からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌されます。インスリンには血液中の糖を細胞に取り込むことで、血糖値を下げるはたらきがあります。また、細胞内に取り込まれた糖はエネルギーに変換されます。しかし、あまりにも高血糖になるとインスリンの働きが悪くなり、細胞内に糖を取り込むことができなくなります。その結果、エネルギー源を得ることができなくなってしまし、体内では、エネルギー源を得ようと脂肪の分解が始まり、それと同時にケトン体という酸性物質が大量に産生されます。このケトン体が多くなった状態こそが、ペットボトル症候群です。

主な症状として、初期段階では激しい喉の渇きや、倦怠感などの症状がみられます。さらに重篤な場合は、多尿や嘔吐、腹痛、さらには意識混濁や昏睡(糖尿病性昏睡)などの症状を引き起こすこともあり、非常に危険です。

ペットボトル症候群は男性がなりやすい?

女性に比べ、飲み物をがぶ飲みする傾向があることから、ペットボトル症候群は、圧倒的に10〜30代の男性の発症率が高いといわれています。よく10代の学生が、部活動終わりに水の代わりにスポーツドリンクや炭酸飲料を一気にゴクゴクと飲んでいる姿を見かけることがありますが、実はこの飲み方は非常に危険! こんな飲み方を連日繰り返していたら、ペットボトル症候群になる可能性がぐんと高くなります。「若いから大丈夫!」ということは決してありません。

実はこんなに・・・飲み物に含まれる糖分量

愛知県の豊川保健所が令和4年度にまとめたデータ※2によると、500mLのペットボトル飲料に含まれる糖分の量は、スティックシュガー1本(3g)で換算すると以下のようになることがわかりました。

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麦茶や緑茶、無糖のコーヒーは糖分が含まれていないため0本。スポーツドリンクで9本分、豆乳飲料・ミルクティーで13本分、リンゴジュースでは20本分でした。そして意外にもヨーグルト飲料には、スティックシュガー22本分の糖分が含まれていました。

WHO(世界保健機関)が2015年3月に発表したガイドライン※3では、1日の糖分(フリーシュガー)摂取は、1日に摂る総エネルギー量の5%未満に抑えることが望ましいとしています。これは成人のエネルギー摂取量2000kcalで計算すると、25gに値し、スティックシュガーで換算すると約8本分になります。そう考えると、500mlのスポーツドリンクを1本分飲むだけで、1日の糖分摂取の目安量を超えてしまっているのです。だからといってこれらの糖分が多く含まれている飲料を絶対に飲むなということではありません。適度な糖分や塩分は熱中症対策には必要です。ただし、飲み方を考えずに、毎日のようにガブガブ飲んでいたら・・・知らぬ間にペットボトル症候群になるリスクが近づいているのかもしれませんよ。

*フリーシュガー・・・ブドウ糖や果糖等などの「単糖類」、 しょ糖・食卓砂糖等の「二糖類」のことを指す。添加された砂糖や果汁やシロップに含まれる糖のこと。

ペットボトル症候群を防ぐには

暑い夏はどうしても、冷たい炭酸飲料などをゴクゴクと飲みたくなりますが、ペットボトル症候群にならないためには、「甘い飲み物を飲むことを習慣化しない」ということが大切です。熱中症予防のための水分補給には、糖分を多く含む飲み物を避け、水やお茶、麦茶など糖分を含まないものを選ぶようにしましょう。また、カロリーオフと書かれたスポーツ飲料であっても、多くの場合糖分が含まれています。少し飲んで「甘いな」と感じたら、氷を入れたり、水で薄めたりして、濃度を下げるなどの工夫をすることも重要です。

この夏は記録的な暑さが予想されます。熱中症にもペットボトル症候群にもならないように、かしこく工夫してこの夏を乗り切りましょう。

参考文献
※1 一般社団法人全国清涼飲料連合会「清涼飲料水Q&A ペットボトル症候群って何ですか?」
https://www.j-sda.or.jp/sp/qa_view.php?id=67&cat=6

※2 愛知県豊川保健所「飲み物に含まれる糖質の目安」
www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/453622.pdf

※3 世界保健機関(WHO)ガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」
https://iris.who.int/bitstream/10665/149782/1/9789241549028_eng.pdf?ua=1

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