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とっておきの温泉宿

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2023.6.5

温泉、皆さんはお好きですか? どのような基準で行き先を選びますか? 私たち現代人の多くは、これといった病気ではないがどことなく元気がでない、疲れがいつまでも残るなどの不調を抱えつつ生活しています。そんな人におすすめの1冊が『心もからだもおなかも〝湯治″とっておきの温泉宿』です。本著では温泉療法にも精通した著者が厳選した全国27施設を紹介しています。

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ああ、温泉に行きたい

ちょっと仕事で成果が出た後には、空を見上げて「温泉に行きた~い」と思います。がんばりすぎて疲れちゃったときも「ああ、温泉に……」としょぼんと思います。
温泉大国日本に住む私たちは、1年のうち何度も「温泉に行きたい」とつぶやいているのではないでしょうか? 
スパリゾートなどテーマパーク化した温泉も楽しいですが、『心もからだもおなかも〝湯治″とっておきの温泉宿』で、著者の和田美代子さんがこだわったのは「湯治」というキーワード。
湯治は、病気を治したり、からだの不調を整えたりするために、温泉地に長く滞在することをいいます。現代のように病気は病院で治すものという意識がなかった時代、温泉がもたらす効用に期待する人はたくさんいましたし、実際に元気になった人も多くいたのでしょう。
私たちが抱える心身の不調……いつまでも残ってしまうのは、湯治のようにじっくりと自分と向き合う時間がないからなのかもしれません。

おすすめの湯治スポットは?

今回ご紹介する『心もからだもおなかも〝湯治″とっておきの温泉宿』では、さまざまな特徴をもつ温泉が紹介されています。紹介されている温泉は、弱アルカリ単純泉や炭酸水素塩泉、含硫黄、単純弱放射能泉など泉質も明記されています。また、温泉とのかかわり方についても一般的な入湯のほかに飲泉や岩盤浴ができる場合には、ひと言紹介されています。

本著のなかで「まさしく、これぞ湯治!」と思わされる宿が岩手県にある大沢温泉です。ここは近代和風旅館の「山水閣」と「湯治屋」と名づけられた自炊棟があります。湯治屋は基本素泊まり。食事は共同炊事場で各々が調理します。食材は施設の売店で購入することもできますが、魚や肉は前日までに予約が必要とのこと。また、自炊に飽きたときは館内の食事処を利用するのもOKです。
寝具やタオル類はレンタル料を支払って使います。寒い季節にはこたつやストーブもレンタルができます。ちなみに掛布団、敷布団はどちらも1日220円。枕11円、バスタオルで110円※と低コストですが、さらに経費を抑えたい場合は布団やタオルは自宅から持っていくとよいそうです。長く逗留するにはよいシステムですね。(※2023年5月現在)

もうひとつ、進化系の湯治をご紹介。群馬県・草津温泉にある「ホテルクアビオ」は瀟洒(しょうしゃ)な洋館建築で、まるでヨーロッパ貴族の別荘のような外観です。こちらのホテルに引かれている源泉は「万代鉱源泉」という殺菌力があるもので、草津温泉に特徴的な硫黄のにおいはありません。湯に含まれる「メタケイ酸」という成分は肌をしっとりさせるそうで、個人的にはちょっと嬉しい。さらにさらに、ここにはフィンランド式のサウナまで完備されています。浅間山を眺めながら疲れた心身を整える! そんな贅沢が可能です。
ホテルクアビオのお食事はフレンチスタイル。だからといってバターや生クリームをたっぷり使ったものではなく、マクロビオティックがベースになっています。マクロビオティックは日本生まれの食事法で、玄米や全粒粉を主食とし、主に野菜や豆、海藻などを材料に調理します。味付けも基本は塩やダシで、甘味は砂糖ではなく甜菜糖などを使用しますからヘルシーです。本著に掲載された料理の写真は見た目も華やかでとてもおいしそうです。身も心も解き放たれたような気分を味わえそうです。

「温泉宿」といってもその個性は千差万別、ご自分の好みにあったお宿を探すガイド役にぴったりの1冊です。明確な予定がない方でも旅心が満たされることでしょう。

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和田美代子著(食べもの通信社)定価:1,650円

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