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熱中症の重点課題 
深部体温いかに下げるか

医療・健康
2024.6.28

今年の夏も暑くなりそうです。そんな夏を乗り切るためには、熱中症をいかに回避するかがカギになります。最新の天気予報をチェックし、「熱中症警戒アラート」がでているときには不要不急の外出は避け、やむなくでかけるときには飲み水や塩飴などを持参しましょう。さらに男性も臆することなく日傘の使用を! 今回は熱中症と関連の深い「深部体温」に注目し、そこから熱中症対策を考えてみました。

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深部体温と熱中症

深部体温という言葉を聞いたことがありますか? 深部体温とは脳や臓器などからだの内側の部分の体温をいいます。脳や心臓、腎臓などは生命を司る重要な部分ですから、外部環境の影響を受けにくく、常に一定の体温(約37℃)を維持するようになっています。
本来、外部環境の影響を受けにくい深部体温ですが、それにも限界はあります。
たとえば雪山で遭難して氷点下の世界に長時間置き去りにされれば、深部体温が35℃以下になり低体温症という状態になりかねません。適切な処置が行われないと最終的には心臓が停止します。
一方、深部体温が上昇したことで起こるのが熱中症です。こちらも重症化するといのちにかかわります。熱中症の怖いところは、昨今の夏ならば炎天下のグラウンドなど屋外でなくとも起こりうる点です。実際に、夜間自宅で寝ているときに熱中症になる人が多くいます。

熱中症かも? そのサインを見逃すな

熱中症の初期段階症状としては、「めまい」「こむらがえり」「手足のしびれ」などがあげられます。その後、中等症になると、「頭痛」「吐き気や嘔吐」「倦怠感」などが現れるようになります。
このような不調に気づいたら、ただちに冷たいものを飲み、エアコンの効いた部屋など涼しい場所に移動しましょう。そして、手のひらや足の裏を水に浸けたり、冷たいタオルで顔を冷やしたりして、しばらく安静にします。自力で水が飲めないような状況ならば、救急車を呼びます。

このような熱中症症状がみられるときには、外部環境を受けにくいはずの深部体温が上昇しています。一刻もはやくクールダウンするようにしましょう。

こんな熱中症の症状がみられたら……周囲が対応すること

深部体温の上昇が長びくと、熱中症の重症段階となり、「けいれん」や「意識障害」がみられるようになります。この時点で脳や臓器に影響が出ているものと考えられます。
まずは、迷わず救急車を呼びましょう。
救急車が到着するまでの間、少しでも深部体温を下げる努力をしてください。しかし、このような状態になると、先ほど紹介したような対応を自力ですることはできません。周囲の人の迅速な行動が求められます。

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熱中症はオールシーズンで予防対策を

わたしたちのからだは暑さに対して、汗をかくことで熱を放出しています。しかしながら、汗をかく能力が十分に備わっていないと熱を放出することができずに深部体温を上昇させてしまいます。そして、熱中症へと……
熱中症を予防するためには、ちゃんと汗をかくことができるからだにしておきましょう。そのためには軽く汗をかく程度の運動を習慣にすることが大切です。1年を通して運動を継続すれば、上手に汗をかけるようになります。また、入浴も汗をかきやすいからだづくりに役立つといわれています。シャワーで済まさないでゆっくり湯船につかるとよいですね。

また、汗腺(汗をかく器官)の活動能力は、3歳くらいまでにどれだけ汗をかくかによって決まるといわれています。乳幼児期に、エアコンの効いた部屋でずっと過ごしていると汗腺が活動しなくなります。そのような子どもは、運動しても暑いところにいても、あまり汗をかかないようになってしまいます。つまり、熱中症にかかりやすい大人になってしまうのです。将来のために子どもにはよい汗をかかせておくことが大事ですね。

そして、もう一つ大切なこととして、汗をかいたらしっかり水分補給。さらに大量の汗をかいた場合は、水分だけではなく塩分も摂取するようにしましょう。

熱中症に気をつけつつ、よい夏をお過ごしください。

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参考
厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
一般社団法人 日本気象協会「熱中症ゼロへ。」

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