社会を知るために覚えておきたいLGBTQ基礎用語
12月10日は人権デーです。「世界人権宣言」の第一条には「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と記されています。あれ? 本当に自由でしょうか、平等でしょうか。スイスに本部を置く世界経済フォーラム(WEF)が、毎年発表するジェンダーギャップ。2023年の日本の順位は過去最低の125位。しかし、これって単に女性が生きにくいだけじゃありません。LGBTQに代表される性的マイノリティの人たちにとってはもっと生きにくい日本! 本来ならば、すべての人がだれに遠慮することなく自分らしく暮らせるようにならなくてはいけません。まずはLGBTQについて考えてみませんか? その扉を開くために今回は基本用語を……。
まず、言葉の意味を知るところから始めよう
LGBTQ、耳にしたことはあるけれど、ちゃんと理解しているかと聞かれると自信がなくなる人も少なくないでしょう。よく知らないことの理由に「自分の周りにはLGBTQの人がいないから」という人がいますが、本当に周囲にいないのでしょうか? もしかしたらあなたに話しても理解が得られないと思って黙っているのかもしれません。まずは性的マイノリティの話題が出た際に「?」がなくなるように、基本的な言葉の意味を紹介しましょう。
LGBTQは以下の言葉の頭文字からできています。
「クィア」や「クエスチョニング」に似た言葉に「ノンバイナリー」がありますが、「クィア」などと異なる点は、ノンバイナリーは自身の性自認や性表現として「男性」や「女性」といった枠組みをもたないセクシュアリティをいいます。
LGBTQに一文字プラスして、「LGBTQ+」という場合もありますが、この「+」には上記の5つ以外のセクシャリティとして、だれに対しても恋愛感情を抱かない人をいう「Aセクシュアル(アセクシュアル、エイセクシュアル)」や、どのセクシャリティの人も恋愛対象になる「パンセクシャル」が含まれることが多いです。
「性的指向(Sexual Orientation)」は、自分が恋愛感情を抱くのはどのような性別なのかを意味するものです。性的指向にはさまざまなかたちがあります。「性自認(Gender Identity)」は、自分の性別をどのように認識しているかということです。出生のときに割り当てられた性をそのまま認識している人もいれば、違和感がある人、決められない・決めたくない人などさまざまです。
性的指向と性的自認に関することを、それぞれの英文の頭文字をとって「SOGI(ソジ)」といいます。SOGIはLGBTQに限らずすべての人に当てはまる属性です。また、あくまで個人的なことでもありますから、根掘り葉掘り聞きだすことではありません。そのような話題となり、カミングアウトされた場合には、あくまで相手の話に耳を傾けましょう。
カミングアウトは性的指向や性自認を他者に伝えることをいい、それは本人の意思のもと行われます。ちなみに本人の同意を得ないでその人の秘密をほかの人に話すことをアウティングといいます。アウティングをされたことで自ら死を選んだゲイ男性の事件を覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
情報をアップデートすれば、見える景色も変わるかも
「性同一性障害」という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。これはトランスジェンダーと同義語です。障害という言葉からは病気の印象を与えるため、2019年にWHO(世界保健機関)では「精神・行動・精神発達の障害」という精神疾患の一つに位置付けていた性同一性障害を「性別不合」と名称を改め、病気ではなく「性の健康に関する状態」としました。アメリカ精神医学会においても2013年に「性同一性障害」から「性別違和」に名称を変更しています。出生のときに割り当てられた性に違和感を覚え、受け入れがたいことは病気ではないとみなされるようになっているのです。
保守的な考え方をもつ人のなかからは「同性愛者は生産性がない」などと乱暴な発言が聞こえてくることがあります。血のつながった子孫を残さないという狭義ではそうかもしれませんが、人間の生産性というのはもっと広い意味でとらえることができるでしょう。当事者だけではなくみんなが情報をアップデートし、柔軟に意識改革していくことが、いま求められているのではないでしょうか。
そして、LGBTQの人たちに寄り添い、この人たちの人権や自由を理解し支援を行う人のことを「アライ」といいます。マジョリティと認識している人たちが、アライへと小さな一歩を踏み出すことで、マイノリティの人たちだけではなく自らの生き方もさらに自由になる可能性があるということをちょっと考えていただければと思います。
PRAID JAPAN
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