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ノロウイルスに注意!
2回手洗いの実践を

医療・健康
2022.11.21

カキや寒ブリなどが旬を迎え、食卓への登場回数が増える秋から冬にかけて、注意したいのがノロウイルス。ノロウイルス感染症は例年、この頃増加し始めます。新型コロナウイルスの流行以降、日々の生活において徹底した手指の消毒が行われるようになりました。しかしノロウイルスはアルコール抵抗性が強いウイルスのため、ノロウイルスの対策としては手指のアルコール消毒だけでは不十分だといわれています。

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ノロウイルスの感染経路や主な症状は?

ノロウイルスの感染経路は、経口感染が多いです。主な感染様式としては、ウイルスが含まれている二枚貝を、生あるいは十分に加熱しない状態で食した場合や、食品取扱者(食品の製造や調理等に従事する人など)が感染していて、その人を介してウイルスが付着した食品を食した場合などがあります1)。また、ノロウイルスは非常に感染力が強いため、感染者の便や嘔吐物を通じて二次感染を引き起こす場合もあります。

ひとたび感染すると、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などの症状が24~48時間程度続きます。これらの症状は、通常3日以内には治まりますが、幼児や高齢者、抵抗力が落ちている人などは症状が重くなることもあります。

経口感染・・・ノロウイルスなどの病原体を含む水や食べ物を介して感染すること。

なぜ、ノロウイルスにはアルコール消毒が効きにくい?

ウイルスには、構造の異なる「エンベロープウイルス」と「ノンエンベロープウイルス」の2種類が存在します。エンベロープとは、脂肪・タンパク質・糖タンパク質からできているウイルスの外側を覆う膜のことです。このエンベローブの有無によって、アルコール消毒剤からのダメージの受けやすさが変わってきます。

新型コロナウイルスなどのエンベロープウイルスは、アルコール消毒剤からのダメージを受けやすいウイルスです。アルコールが膜を破壊してウイルスにダメージを与えるため、ウイルスの感染力を弱める効果があります。一方ノロウイルスなどのノンエンベロープウイルスは、ウイルスの表面がタンパク質で構成されたカプシドで覆われているため、一般的なアルコール消毒が効きにくい傾向にあるとされています。

アルコール消毒による効果が見込めないノンエンベロープウイルスの除去には、塩素系消毒剤の次亜塩素酸ナトリウムが用いられます。高い殺菌力が特徴で、薬物耐性が強いノンエンベローブウイルスの働きを抑えることができるといわれています。ただし次亜塩素酸ナトリウムは皮膚に使用すると手荒れを引き起こす可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。

日ごろから「2回手洗い」の実践を!

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ノロウイルスに感染しないために日ごろからできる対策として、「2回手洗い」が推奨されています。ノロウイルスは前述したように非常に感染力が強いため、少量のウイルスでも感染します。とくに指先や皮膚のしわ、くぼみなどにウイルスが入り込むと1回60秒の手洗いでは除去しきれません。そこで「洗剤(ハンドソープ等)によるもみ洗い10秒→流水で15秒すすぎ」という行為を2度繰り返す「2回手洗い」を実行した結果、手洗いを行う前よりも10万分の1以下にまでウイルスの数を減らすことができたとの報告がされています2)。

感染リスクが高いとされる、「嘔吐物、排泄物などの処理後」「食品を取り扱う直前」は2回手洗いが効果的です。また、使い捨てペーパータオルや、清潔なタオルでしっかりと手指を乾燥させたのち、アルコールベースの速乾性手指消毒剤を使用すれば、手洗いで落としきれなかったウイルスを除去することができ、新型コロナウイルスの感染対策にもつながります。

率先的に2回手洗いを取り入れ、ノロウイルスに感染しないよう各自ができる限りの感染予防対策を行っていきましょう。

参考・引用文献

1)森功次他:感染症学雑誌、80:496-500,2006
http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800050496.pdf

2)厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

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