
本格運用開始!広がるマイナ保険証の活用
2024年12月に本格的な運用が開始された、マイナ保険証。2025年度からは、救急搬送時に患者のマイナ保険証を活用して、救急隊員が通院歴や服用歴などの情報を確認できる「マイナ救急」が全国的に導入されるなど、活用の幅が広がっています。
マイナ救急とは?
マイナ救急は、救急搬送時に救急隊員が傷病者のマイナ保険証を活用して、病院選定に必要な情報を取得することで救急業務の円滑化をはかる取り組みです。現在、2025年度からの本格導入を前に全国各地の救急現場で実証実験が行われています。
現状の救急活動における傷病者情報の聴取は、主に口頭で行われています。しかし症状に苦しむ傷病者本人から、既往歴やかかりつけの医療機関名などを聞き出すことが難しい場合も多く、迅速な対応が求められる場面で病院の選定に時間を要していました。
これらに対し、マイナ保険証を活用することで
・情報をもとに応急処置や病院の選定を適切に行うことができる
・搬送先の病院で治療の事前準備が可能となる
などのメリットが期待されています。
ただ、取り組みを進めるうえでの課題もあります。警察官であれば、緊急に救護が必要なときは、法律に基づき患者の所持品を確認することができます。しかし、救急隊員には本人の承諾がない場合、第三者(警察官や医師など)の立ち会いがないと所持品を確認することができません。そのため、患者が意識を失っていてマイナ保険証を渡すことができないケースでは、救急隊員だけではマイナ保険証をもとに情報を確認することできません。
病院において緊急時に本人の同意なしで医療情報の閲覧が可能に
マイナ救急の導入に先立ち、2024年12月9日から運用開始となったのが「緊急時医療情報閲覧機能」です。病院において患者の生命、身体の保護のために医療情報が必要なときに、マイナ保険証による本人確認を行えば、患者の同意取得が困難な場合でも、医療機関等向け総合ポータルサイトを通じてレセプトに基づく医療情報の閲覧が可能になりました。
閲覧可能な情報としては、マイナ保険証で通常表示可能な診療や薬剤に関する情報のほかに、患者の基本情報や医療情報などが集約された「救急用サマリー」を閲覧することができます。
これにより、「緊急時における疾病の推測とそれに伴う治療方針の迅速化」と「薬剤情報や手術情報を踏まえた適切な検査および治療」が可能になり、救命率の向上や後遺症の軽減などが期待されています。
2025年春にはマイナ保険証のスマホ搭載も・・・
厚生労働省によると、2025年1月31日時点でのマイナ保険証の利用登録件数は、8153万414件
2025年の春にはスマートフォンへの搭載も開始されるマイナ保険証。今後さらに、登録・利用促進に向け拍車がかかりそうです。
※1 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
・総務省消防庁「マイナンバーカードを活用した救急業務 (マイナ救急)の全国展開に係る検討」
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-151/01/shiryou1.pdf
・厚生労働省医政局「令和6年12月スタート 緊急時医療情報閲覧 概要案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001243478.pdf