
五月病だけではない「四月病」~がんばりすぎないで
春は新たなスタートをきる人が多く、新天地で四月を迎えている人もいるでしょう。新しい環境でがんばらなくちゃ! と張り切るのはいいですが、ちょっと肩に力が入っていませんか? ときにまっすぐなやる気は自分を追い詰めてしまうことがあります。五月病のきっかけにもなる四月病についてご紹介します。
入社後すぐに気づいてしまう こんなはずじゃなかった
退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスによると、2024年に同社の退職代行サービスを利用した新卒者は1,814名、そのうち805名(新卒利用者全体の44%)が4月から6月までの3か月間に利用していたことがわかりました。
退職を決意した理由で最も多かったのが、「入社前の契約内容や労働条件と実際の勤務実態に乖離(かいり)があった」でした。「入社早々、辞めるなんて何事だ。ちゃんと働いてもみないで何がわかる!」とご立腹の先輩世代もいるかもしれませんが、いわゆるミスマッチに気づきつつ、無理して働くことで生じる弊害というものもあります。
五月病ならぬ四月病ってなんですか?
入社した企業に対して明らかなミスマッチを感じていなくても、どうもなじめずに眠れなくなったり、気持ちが落ち込んだりすることがあります。そんな気持ちのまま5月の大型連休を迎え、その際に緊張がほどけてしまったがために、連休明けに出社や登校ができなくなることがあります。そのような状況を五月病といいます。
これは、新入社員に限ったことではありません。4月は多くの人が環境の変化を体験します。昇格したことで業務内容が変わった、転勤をして人間関係が変わった、大学進学を機に一人暮らしを始めた、などの場合でも、五月病は起こりやすいと考えられています。
また、5月に先立ち、4月は新しい環境でスタートすることが多く、その場合、周囲の人の期待に応えたい、早く一人前になりたいと、ついついがんばってしまうことがあります。
そんな精神的な高揚や緊張とともに、寒暖差の大きい春は自律神経にも多くの負荷がかかることになります。次のような不調にこころ当たりのある人はいませんか? このような不調が「四月病」と呼ばれています。ちなみに四月病も五月病同様、病名ではありません。四月病といわれる不調を対処せず、1か月過ごしてしまうと五月病になるリスクが高まるといわれています。
からだに現れるストレス
・眠れない
・夜中に目が覚める
・頭痛、腰痛、肩こりなどがつらい
・食欲がない
・めまいを感じる
・下痢をしたり、便秘になったりする
こころに現れるストレス
・気分が落ち込む、急に泣きたくなる(泣いてしまう)
・人と会ったり話したりすることが億劫になる
・ささいなことでイライラする
五月病は「適応障害」といわれる病気で、新しい環境などにうまく適応できないことで不調が現れます。適応障害には原因となるストレスがあり、そのストレスを受けてから3か月以内に発症します。そして、ストレスの原因となるものを取り除けば症状は落ち着いて6か月以上続くことはないといわれています。ただし、ストレスの原因となるものを取り除くことができないと、慢性適応障害となり、ときにはうつ病を併発することがあります。
五月病にならないためにも、四月病といわれる環境の変化などで感じるストレスは早く解消できるとよいですね。
こころの疲れに気づいたら
からだやこころに現れるストレスにこころ当たりがあり、「つらい」と感じている人は、ストレスの原因となるものを取り除く、もしくはストレスと感じていたことが仕事や環境に慣れていくことで消えていくとよいのですが、そううまくいかないのが、こころの問題です。
まずは、しっかりと睡眠をとってからだの疲れを癒し、こころも含めてリラックスすることを目指しましょう。森林浴をしたり、海で夕陽を眺めたりできれば解放感を味わえそうですが、わざわざ遠出をしなくても大丈夫です。
自宅で自分の好きなアロマの香りを楽しんだり、フレーバーティーを飲んだりするのが好きな人は、そんな時間をもってみてください。
とくにそのようなものに興味がなければ、わざわざアロマオイルを焚く必要はないです。ゆっくりと入浴するだけでよいでしょう。ゆっくり睡眠をとるだけでよいでしょう。そして、すこし余力があれば、仲のよい友人に話を聞いてもらうといいですね。
むしろ「リラックスしなくては!」と考えすぎないようにしてください。
気分の落ち込みが続くようであれば、心療内科やメンタルクリニックを受診して専門家に相談されるとよいでしょう。