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大人になってから発症するアレルギーとは?

医療・健康
2023.10.23

子どもの頃はアレルギーなんてなかったのに、最近、何かのきっかけでくしゃみがとまらない、何かを食べるとじんましんが出る、など、大人になってから急にアレルギー症状が出てきてしまった、そんな方はいませんか。今回は、あまり知られていない大人のアレルギー症状について考えてみます。

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アレルギー反応とは—その発症メカニズム

アレルギー反応とは、通常は無害な物質に対して免疫系が過剰に反応することを指します。
多くのアレルギーの発生の仕組みを説明します。アレルゲン(原因物質)が体内に入ると、その物質に特有の免疫グロブリンE(IgE)と呼ばれる抗体がつくられ、血液中の好塩基球(白血球の一種)と肥満細胞に結合します。この段階ではまだアレルギー反応は起こりません。IgE抗体が体内で再びアレルゲンを見つけると、表面にIgE抗体をもつ好塩基球と肥満細胞が、ヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質を放出し、これらの物質によって痒みや鼻水といった症状が引き起こされます。これがアレルギー反応です。

アレルギーは、遺伝的要因、環境要因(自然環境や生活環境など)、アレルゲン、の3つの要因が重なって発症するといわれています。大人になると、新しく口にするものが増えたり、職業柄、毎日触れるものが増えたりするため、アレルゲンやアレルギーの種類も多様化していきます。

意外と知られていないアレルギー

今回は、主に大人になってから発症するアレルギー症状を2種類紹介します。

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)
花粉症を発症した後に果物アレルギーを併発する人が増えています。花粉症に関連した食物アレルギーのことを、「花粉-食物アレルギー症候群」と呼びます。花粉症のアレルゲンと、一部の果物に含まれるアレルゲンの構造が似ているために、花粉のアレルゲンと間違えて体が反応してしまい、果物アレルギーを発症してしまうことがあるのです。PFASは、口やのどに限定して腫れや痒みが現れることが多いため、口腔アレルギー症候群(OAS)とも呼ばれています。これらのアレルゲンは、加熱調理や缶詰加工がされていれば食べられるようになる場合も多々あります。なお、このようにアレルギーを起こす特定のタンパク質だけでなく、そのタンパク質と似た構造のタンパク質を有する物質にもアレルギー症状を示すことを「交差抗原性」があるといいます。

以下は、主な花粉とアレルゲンの構造が似ているとされている果物や野菜の一覧です。

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ラテックス-フルーツ症候群
もともと天然ゴム製品に対して、じんましんなどのアレルギー(ラテックスアレルギー)症状を呈する人が、クリ、バナナ、アボカド、キウイフルーツなどを食べたときに同様のアレルギー反応を起こすことがあります。これもPFAS同様、交差抗原性によるものと考えられています。ラテックスアレルギーがある人の約半数がそのような症状を経験するとされており、クリ、バナナ、アボカドの場合は、アナフィラキシーショックを起こす場合もあることから、特に注意が必要です。

花粉症やラテックスアレルギーのある人が、交差抗原性の認められている食物を食べた時に少しでもアレルギー症状が出た場合、専門医を受診することをお勧めします。アレルギー症状を避けるためには、アレルゲン除去・回避が基本的な方法です。アレルギーは完治するものではありませんが、QOL(生活の質)を下げずにすむよう、大人のアレルギーと上手に付き合っていきたいものです。

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