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なぜ年齢を重ねると手の甲の血管が目立つのか

医療・健康
2025.7.28

年齢を重ねるにつれ、「あれ? 手の甲の皮膚が薄くなった!」「こんなに血管が目立っていたっけ?」と、首をかしげたくなることはありませんか? このような手の状態を「ハンドベイン」といいます。ハンドベインの原因は皮膚や血管の老化です。さあ、手の老化にどう立ち向かいましょうか。受け入れるべきか、抗うべきか……。

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手の甲の血管が青々と目立つのはなぜ?

手の甲の皮膚が薄くなったり、血管が目立ったりするハンドベイン、実はこんなことが起こっているからです。

1. コラーゲンやエラスチンの減少
皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層から構成されています。そのうち真皮層には、コラーゲンやエラスチンといったタンパク質があり、これらが皮膚のハリや弾力を保っています。加齢とともにこれらが減少することで、皮膚が薄くなります。
手の甲は紫外線のダメージも受けやすい部位といえます。紫外線ダメージによってコラーゲンの分解が促進されると、皮膚のハリが失われます。

2. 皮下脂肪の減少
もともと手の甲は脂肪が少ないのですが、加齢により皮下脂肪が減ると、血管が浮き出るようになります。

3. ターンオーバーの遅れ
表皮(皮膚の一番外側)は、約28日間をかけて古い皮膚から新しい皮膚へと生まれ変わります。これをターンオーバーといいますが、年齢とともにそのサイクルは長くなります。すると、皮膚は乾燥しやすくなりくすんで見えるようになります。

4. 血管の老化
手の甲に青く見える血管は静脈です。加齢により血管の弾力が失われると静脈は太くなり、さらに皮膚が薄くなっていることで、とても目立つようになります。

ハンドベインはこれらの原因が複合的に影響しています。

ハンドベインのセルフケア

1. ハンドケアの基本は保湿ケア
保湿剤を塗って乾燥からお肌を守りましょう。最近はハンドケア用品も充実してきています。ハンドローションで水分を与え、ハンド美容液で栄養成分を与え、ハンドクリームで水分を閉じ込めて乾燥から肌を守るといった、お顔と同じようなケアをする人も増えてきました。このようなスペシャルケアは1日1回くらいになりますが、水仕事の後や手の乾燥に気づいたときには、そのつどハンドクリームを塗るようにします。

2. ハンドマッサージで血流促進
保湿ケアの際に手のマッサージを加えることで、血流の促進や皮膚のターンオーバーの正常化が期待できます。香りのよいハンドオイルなどを使えば、気持ちもリラックスすることでしょう。

3. 紫外線対策
手の甲は意外と日光にさらされやすい部分! 紫外線は肌の老化を推進します。1年を通してUVケアをしましょう。手を洗ったらハンドクリームなどを塗りなおすことも忘れずに。日焼け止めハンドクリームを携帯するとよいかもしれませんね。

4. 保湿とダメージ予防に手袋を
食器洗いやガーデニングなどの際にはゴム手袋を着用して、洗剤などの刺激を避けましょう。また、ハンドクリームなどでケアをした後、睡眠中も薄手の綿の手袋をすることで、保湿ケアの効果が高まります。

5. 手洗いはやさしく
感染症予防の目的でも入念な手洗いや除菌アルコールの使用を続けている人もいらっしゃるでしょうが、あまりにも洗浄力の高い石けんや除菌アルコールの使い過ぎはNGです。肌のうるおいを奪いカサカサの乾燥肌になりやすくなります。また、熱いお湯で手洗いするのもうるおいを奪ってしまいますのでご注意ください。

6. 食事で内側からの肌ケア
肌は外側からのケアのほかに、どのようなものを食べるかによってもコンディションは変わってきます。意識的に摂取したい栄養素はタンパク質、ビタミンC、ビタミンEなど。
肌の原料というべきタンパク質を十分に摂取するようにします。肉類、魚、鶏卵、大豆食品などにタンパク質は多く含まれています。
ビタミンCはタンパク質の代謝に関与し、コラーゲンの生成にも必要な成分です。イチゴや柑橘類、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれます。
ビタミンEは老化の原因となる活性化酸素の生成を抑制する働きがあります。アーモンドなどのナッツ類、ひまわりオイル、うなぎ、たらこなどに多く含まれています。

食事から必要な栄養素を積極的に摂取するとともに不足しがちな栄養素はサプリメントなどで補うことも考えてみましょう。

ハンドベインの治療

手はさまざまな場面で常に働いています。物をもったり、パソコンのキーを叩いたり、包丁で野菜を切ったり、赤ちゃんのおむつを替えたりと働きづめです。近年はスマホの使い過ぎで手の腱を痛めてしまう人も少なくないほどです。そんな長年働いてきた手をいつくしむためにもハンドケアで手をいたわってあげてください。

しかし、ケアだけでは十分ではない、手の血管がどうしても気になってしまうという人は病院で治療を受けることも検討してみましょう。

治療法の1つとして、ヒアルロン酸を手の甲に注入しふっくらとさせることで血管を目立たなくさせるという方法があります。ただし、時間が経つとヒアルロン酸は吸収され、手の甲のふくらみもなくなってしまうため、定期的に施術を繰り返すことになります。

ほかには硬化剤を血管に注入して静脈をふさいでしまう治療や細いレーザーファイバーを血管に通して、血管の中からレーザーの熱で静脈をふさぐ治療もあります。効果が現れるまで3カ月から半年程度かかりますが、効果の持続は硬化剤を用いる治療で数年、レーザー治療で10年以上といわれています。どちらもからだへの負担は小さい治療になりますが、色素沈着や炎症などの副作用が現れることもあるため、治療を考えている人は医師に話をよく聞き、不安などはしっかり解消してから臨んでください。ここで紹介したハンドベインの治療は現時点で保険診療ではないため、全額自己負担になります。

加齢のサインが手に出たときに、それを生きてきた証と考え受け入れるのか、ふっくらとした若々しい手を望むのかは、一人ひとりの考えによって異なるでしょう。でも、笑顔になるための選択ならきっとどちらも正解です。

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