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日本は違法薬物のターゲット!?
若者を中心に蔓延する大麻とその社会的影響

その他
2026.1.20

2024年の薬物事犯で検挙された人は14,040人で、前年比1.6%増となっています。その内訳は、大麻事犯で6,342人、覚醒剤事犯は6,306人で全体の9割を占めています。とくに大麻事犯の7割以上を占める30歳未満の若年層の増加に歯止めが効かない状況から、政府ではさまざまな取り組みを進めています。一方で法の網をすり抜けた麻薬や覚醒剤に似た物質を含む製品の乱用も大きな問題となっています。

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法律による規制も……急速に広がる薬物汚染

近年の違法薬物の広がりに対し、2024年12月には改正大麻取締法、改正麻薬及び向精神薬取締法が施行され、法律上の大麻の取り扱いが変わりました。これにより、医療の分野ではこれまで一切の使用ができなかった大麻草由来の医薬品の使用が認められることとなり、研究開発も進められています。つらい症状に悩む一部の患者さんにとって治療の選択肢が増える可能性があり、朗報といえるでしょう。

しかし、法整備が追いつかない速さで薬物の汚染が広がっているのが現状で、その背景には、SNSの普及があげられます。コロナ禍で海外からの密輸入の機会が困難になると、国内での大麻の違法栽培が増加し、SNSを使った密売が横行しました。2024年には、大阪で大麻を密売していた高校生がその客であった中学生らを誘って密売をさせていたという事件が発覚し、大きな驚きを持って報じられています。この事件でも使われていたのは秘匿性の高いSNSです。SNS上では隠語や絵文字を使った違法薬物の広告が投稿されるなど、手口はより巧妙化しており、絵文字などを使ったSNS投稿は、とくに若年層との親和性が高く、入手する側の心理的なハードルを下げてしまっているのが現状です。

大麻に依存性はあるのか、ないのか?

SNSなどで「大麻は身体への影響はない」「依存性はない」といった情報が広がったことも若年層の大麻の広がりに影響しているといわれています。しかし、厚生労働省では、大麻の乱用や長期的な使用についてさまざまな影響があるとしており、とくに成長期である若年層で脳への影響があるとの見解を示しています(表)。

表 大麻の乱用、長期的な使用による影響

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大麻は、覚醒剤やヘロインなどと比べると弱いものの、有効成分であるテトラヒドロカンナビノールの濃度が高い製品をより長期間使用することで、精神疾患や依存症の発症リスクが高まる可能性があるといわれています。また、大麻を使用することが別の違法薬物の入り口になるというゲートウェイドラッグとしての役目を果たしている可能性も指摘されています。一方で、大麻使用者は、逮捕されるまで周囲に気づかれないまま社会生活を送っているという現実もあります。ここが「大麻には依存性がない」「身体への影響はない」とする理由にもなっているとみられます。では、社会生活を送れているのだから大麻を使っても問題ないのでしょうか。

違法薬物の使用による社会的な影響

海外では大麻の使用が違法ではない国があります。そのため、海外旅行や留学のタイミングで大麻を経験し、日本に戻ってからも大麻を続けてしまうケースがあります。また大麻は、「大麻リキッド」や「大麻ワックス」などの加工品として密売買されていることも多く、軽い気持ちで始めてしまう人も少なくありません。

以前の大麻取締法では、使用自体が直接罰せられることはありませんでした。しかし、現在大麻は麻薬に位置付けられ、その所持や譲渡に関する規制だけでなく、不正な使用についても刑事罰の対象となっています。また、法定刑の上限も引き上げられるなど、厳罰化が進んでいます。本人は周囲に気づかれないまま社会生活を送っているつもりでも、逮捕、起訴となった場合にはこれまで通りの生活が困難になる可能性が非常に高いといえるでしょう。社会的な信用は失われ、家庭が壊れるといったことも決して稀なケースではないのです。

狭い範囲で密度の高い交友関係を持つ未成年では、「友人の誘いを断ったら嫌われるかもしれない」という気持ちが強く、悪いとわかっていても「1回だけなら」と、誘いに乗ってしまうことがあります。しかし、大麻とわかって使用していた場合には、未成年であっても家庭裁判所での審判を受けることになります。

大麻は、医学的な知見からその依存性や身体的・精神的な影響についてさまざまな議論がなされ、調査研究などが進められています。しかし、この議論とは別に、国内では違法、つまり犯罪行為です。また、薬物依存症の治療には長い年月がかかります。自分を、家族を、将来を守るためにも大麻をはじめとする違法薬物に手を出さないことが大切です。


●若年層に広がる違法薬物
コロナ禍が収束して、海外からの入国制限が解除されると、覚醒剤をはじめとする海外からの違法薬物の密輸の増加が指摘されています。また、2024年頃からは国内で未承認となっている鎮静剤「エトミデート」の密売の摘発が増加してきました。これは「ゾンビたばこ」とも呼ばれており、「エトミデート」は、2025年5月に指定薬物となっています。

近年、欧米ではフェンタニルをはじめとする合成オピオイドなどの乱用が深刻な問題となっています。国内での違法薬物の蔓延から見るに、対岸の火事ではなくなりつつあるといえるでしょう。

参考
※厚生労働省:学生のみなさんへ 薬物のこと 大麻のこと 誤解してると危険です!
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001632219.pdf
・厚生労働省:令和7年3月1日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html
・政府広報オンライン:大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します
https://www.gov-online.go.jp/article/202412/entry-6856.html
・厚生労働省:「第六次薬物乱用防止五か年戦略」フォローアップ
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001524856.pdf
・Toshihiko M, et al: Risk factors for the onset of dependence and chronic psychosis due to cannabis use: Survey of patients with cannabis-related psychiatric disorders. Neuropsychopharmacol Rep. 2020 Dec;40(4):332-341.

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