涼しい色は何色? 熱中症予防の服の色選び
暦の上では秋を迎えたものの、まだまだ連日厳しい暑さが続いている昨今。熱中症を防ぐための工夫は小まめな水分補給やエアコンの使用だけではありません。普段から身につける「洋服の色」を工夫するだけでも熱中症を防ぐことができることをご存じでしょうか。実は、「視覚的に涼しさを感じる色」と「熱を溜め込めにくい色」は必ずしもイコールではないのです。熱中症を防ぐための、賢い服の色選びについて説明します。
清涼感のある色が、実は熱を溜め込みやすい?
この時期、服装のコーディネートを考える際に、清涼感を求めて青や水色、緑といった涼しげな色を選ぶ人が多いのではないでしょうか。しかし、熱中症予防の観点では、本当に「涼しい色」とは服の中に熱を溜め込まず、太陽からの熱を跳ね返してくれる色を指します。
太陽光には、目に見える「可視光線」だけでなく、熱として強く作用する「赤外線(近赤外線)」や、日焼けの原因となる「紫外線」が含まれています。
衣服の表面温度が上がるか下がるかを左右するには、太陽から放射されたエネルギーを「どれだけ反射できるか、あるいは吸収してしまうか」という反射率が関係しています。光を跳ね返す割合(反射率)が高い色の服は熱を持ちにくく、逆に光を吸い込んでしまう割合(吸収率)が高い色の服は、吸収した放射エネルギーが熱へと変換され、衣服の表面温度を急激に上昇させてしまうのです。
衣服の色による表面温度の差は20℃以上!?
国立環境研究所が行った実験
実験では、最も表面温度が低かった「白」や「黄」と、最も高温になった「黒」や「緑」「深緑」のグループとでは、表面温度に最大で15〜20℃以上もの差が生じることが実験で明らかになりました。また、風がほとんどない、気温約30℃の実験下では、黒や緑系の衣服の表面温度が50℃を超えるケースもありました。
注目すべきは、「青」や「緑」といった一見涼しそうに感じる色が、意外にも熱を溜め込みやすいという点です。特に緑や深緑は、黒と同じくらい表面温度が高くなることがあり、「見た目が涼しそう」といった視覚的なイメージだけで服を選んでしまうと、知らずしらずのうちに熱を溜め込み、熱中症のリスクを高めてしまっていたのです。
日常生活で使える! 熱中症を防ぐカラーコーディネート
「熱を持ちにくい色」の性質を毎日の服選びに活かすことで、日々の生活をより快適に過ごすことができます。実験結果からも分かるように、熱中症対策として最も高い効果を発揮するのは「白」と「黄色」です。特に白は、太陽の光や熱を効率よく跳ね返し、表面温度も上がりにくいため、涼しさを保つのに最適な色と言えます。白と同様に熱を遮る効果が高い黄色も、猛暑日のマストカラーといえますね。
とはいえ、「白い服は汚れが目立ちやすい」「毎日白ばかりを選ぶのは難しい」という場合には、「グレー」や「赤」もコーディネートに加えましょう。赤は見た目の印象から「熱を吸収しそう」と思われがちですが、実は太陽光に含まれる熱源を比較的弾きやすい性質を持っており、青や緑といったダークトーンの色よりも表面温度の上昇を抑えられるという、意外なメリットがあります。
注意したいのは、「黒」「深緑」「緑」「青」の着用です。これらの色は太陽の熱を非常に吸収しやすいため、日差しを浴びると服の表面温度が急激に上がり、衣服内の温度まで引き上げてしまいます。暗い色の服を着用したい日には、日陰を選んで歩いたり、通気性の良いインナーを合わせたりなどして熱を上手に逃す工夫をしましょう。
9月になっても暑い日が続きそうです。賢い服の色選びを身につけて、残暑を乗り切りましょう。
※1 一ノ瀬俊明.最小スケール気候変動適応策としての被服色彩選択効果について.日本地理学会発表要旨集,2020,97号,p121
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajg/2020s/0/2020s_27/_pdf