青カビは食べても大丈夫ってほんとう? な訳がない!
2026年、東京では8月から10月にかけて37日間も雨が降り、連続降雨記録を更新しました。9月は毎日雨が降ったことになります。ここ数年、猛暑・酷暑に悩まされていたので忘れていましたが、カビが生えてしまいそうな秋の長雨を表す「秋黴雨(あきついり)」という季語があるように、この時期は、カビとの縁が深いのです。そこでカビについて考えます。
お餅に生えたカビは大丈夫というけれど……
昔、鏡開きの時期になると、鏡餅に青カビが生えていたのを覚えている人もいらっしゃることと思います。昭和のおばあちゃん世代は「お餅のカビは大丈夫だから」とか「青カビは薬にもなるんだよ」とかいいながら、青い部分だけを包丁で削いで水で洗い流したりした後、かき餅やお汁粉にしていました。なかには食べさせられていた人もいるかもしれません。
で、早々に結論ですが、「お餅のカビは大丈夫」は、大丈夫ではありません。
食べちゃダメ!
目に見えるカビの部分だけを削いで食べるのもNGです。青カビが生えたお餅は、白くきれいに見える部分も顕微鏡で見ればしっかりカビは生えているそうです。
よいカビと悪いカビ
しかし、すべてのカビが悪者というわけではありません。日本の食文化を支えている味噌やしょうゆ、かつおぶしなどはカビがなくては成り立ちませんし、ゴルゴンゾーラなどのブルーチーズは「THEカビ」という見た目にもかかわらず、多くの人に好まれています。これらの食品は、毒素をつくらない特定のカビを使用しているため、カビを利用してつくられる食品であっても体に害をなすことはないのです。
また、パンや餅などに発生する青カビを原料にして世界最初の抗生物質ペニシリンができたのは有名な話です。
とはいえ、自然発生するカビにはさまざまな毒素が含まれているため、「カビが生えた食品は食べないっ!」を徹底してください。さらに捨てるときにもカビの胞子が飛び散らないようにビニール袋に入れ、しっかりと結ぶことが大切です。
カビは非常に多くの種類があり、農産物や食品ごとに発生するカビやカビ毒は異なります。農林水産省では、食品から体内に取り込まれやすいカビ毒をリストアップし、リスク管理を進めています。
カビを食べてしまった! どうする?
カビ毒はO-157やカンピロバクターなどの細菌やノロウイルスとは違い、急性食中毒を引き起こすことは滅多にありません。しかし、「うわっ、これカビ臭い!」というものを食べてしまったときには、口の中の食べ物をすべて吐き出し、水で口のなかをすすいでください。すでに飲み込んでしまったものに対しては、無理に吐き出さなくても大丈夫です。カビはウイルスのように人間の細胞を利用して増殖することはありませんので、急激に増殖して人体に害を及ぼすことはないと考えてもよいでしょう。ただし、カビの種類や摂取した量によっては、早急に対策をしなくてはなりません。
図らずしもカビを食べてしまった場合は、次のことに気をつけてご自身の体調を観察してください。
腹痛や下痢といった症状が現れた場合は、症状の強さと時間とともに悪化していないかを確認してください。カビによる消化器症状の多くは軽度ですが、我慢のできない腹痛などの場合は受診を考えましょう。
吐き気や不快感、喉の違和感なども同様の対応が基本となります。吐き気や不快感は「カビを食べてしまった」という精神的な嫌悪感から起こることもあるので、しばらく冷静になってみてください。
すぐに病院で診てもらったほうがいいのは次のようなケースです。
・息苦しい、呼吸が浅くなる
・顔やまぶた、喉などの腫れ
・じんましん
・強度の腹痛や下痢
・血便、黒っぽい便
・病中病後、高齢者、妊娠中の人など
食用だけではないカビによる健康被害
カビによる健康被害は、食品からの摂取以外にも私たちの生活のなかに潜んでいます。
浴室などに発生した黒カビを放置していると、知らず知らずのうちにカビの胞子を吸い込むことになり、呼吸器疾患などの原因となることがわかっています。長期間吸い込んだりすることで、体内にカビが生成する有害物質が蓄積され肝障害や腎障害などの原因となるという指摘もあります。
また、カビはぜん息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の原因になることがあります。カビに対するアレルギー症状を引き起こさないためには、家のなかのカビの除去が大切です。
カビが発生しやすいところは、浴室やキッチンなど湿度が高くなるところです。お風呂上がりには、浴室の換気を心がけ、壁や床などの水滴もふき取って、カビが生えにくい環境をつくりましょう。それでもカビが生えてしまったら、カビ取り用の洗剤でしっかり除去します。
とくにこの時期に気をつけたいのは、エアコン内部のカビ。秋はエアコンにとって、冷房から暖房使用までのつかの間の休息時間。冬に暖房を使用するときには清潔で暖かな空気が部屋を満たせるように、お天気のよいときにエアコン内部のフィルターなどを掃除しましょう。
ほかにも気温が下がってくると、窓際に結露が溜まりやすくなり、ここもカビの一大生息地となります。こまめに水分を拭き取り、結露防止スプレーなどを利用するのもよいでしょう。
また、ほこりが溜まっていると、窓の周辺にが発生することもあるので、こまめな掃除を心がけてください。
・食品のかび毒に関する情報(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/kabidoku/
・室内環境づくりのポイント(横浜市)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/iryo/allergy/kankyo.html